iPad塗り絵を用いた、子供たちの発達段階ごとの色彩感覚の調査結果が、
(『子供の発達段階と色彩感覚に関する研究』〜iPadを用いた塗り絵を通して〜)
2020年6月の日本色彩学会全国大会で発表されました。
結果をいくつかシェアさせていただきたいと思います。
・小学生は青系統の色を多用しており、有彩色の中では明清色(原色に白のみを加えた色)が目立つ。
・中学生では無彩色が目立ち、有彩色は小学生と同じく明清色が使われているが色については小学生よりも分散。
寒色(青系)は減少し、暖色系や中性色も同じ程度に使用されていた。
・大学生では、彩度(鮮やかさ)、明度(明るさ)の低い色も頻出する。
また、このような結果も出ています。
小学生の好きな色と塗り絵で高頻度に塗られる色は似ていたが、
中学生では、好きな色の上位色が高頻度色にはならず、
大学生では好きな色と高頻度色に共通点は見られなくなった。
人間は成長と共に様々な経験が増えます。
色についての経験も年齢に伴い増えることによって影響を受け、
幼い頃の好き嫌いから色彩感覚も多様化するのではないか、
といういことでした。
これらの結果から、
小学生が勉強をする空間の色(青系統や明清色の使用)の提案
また、
大学での学習環境における暗清色や中間色の使用
等も提案されていました。
長時間過ごすことになる学校等については
現在、防疫の観点から空間における対策も考えられつつあるものの、
確かに、発達段階によって色彩感覚が変わるのであれば、
もっと色空間としても配慮されるべきではないか
と感じたのでした。